• 生 吉村

検証:忍者の水の見つけ方【鳥の羽根編】

「いたばし暗渠忍者ウォーク」が無事終了しました。ご参加のみなさま、関係者のみなさま、誠にありがとうございました。



このイベントの打ち合わせ・ロケハンでは学ぶことがいつも以上に多かった。

まずは、打ち合わせ時に忍者チームからさらりと出てきた、「水の見つけ方」の話。忍術書にそのような記載があるという。


たとえば、伊賀ポータルのサイトに、忍者の情報がわかりやすく色々とまとめられているのだが、そこに「水の見つけ方」というページがあり、以下の6項目について言及している。


・鳥の羽根を地面に突き刺し、数時間後に羽に水滴が上がる

・山肌を1m近く掘り起こし、大地に耳をあて(地下水の)鼓動を感じる

・オモダカ、カキツバタなどがたくさん生えている

・オケラやアリの巣の穴があるところ

・洞窟の地面に手ぬぐいを置き、翌日手ぬぐいが重くなっている

・山の形から観察する


…どれかに該当すれば水があるそうだ(文章は簡略化して記載した/正確な文言はリンク先をどうぞ)。

なぜ水を探すのか、というと、山中にひそむ場合の水の確保のためである、という。



なかでも「鳥の羽根」は、わたしの心にも突き刺さった。

これを、「いたばし暗渠忍者ウォーク」の道中にさっと羽根を拾って実証(道中に湧水もあるのだ)したら、かなり面白いのではないか!うぉぉ、やってみたい・・・!胸が高鳴る。


そこで、ロケハン時にしのがやと公園で鳥の羽根を拾い(野生動物の羽根を触ることはあまりよろしくないかもしれないが、それなりに気をつけつつ…)、持ち帰って、どのくらいで水滴がつくのか、実験してみた。


土に刺す前に、まずはダイレクトに水を吸い上げるかどうかを観察。



水にしばらく浸しておいたのだが・・・うんともすんとも、水は上がってこない。1日おいても、だ。


早速雲行きが怪しくなってきたので、鳥類研究者に訊いてみた(白井さん、その節はありがとうございました)。すると、まずは「鳥の羽根には脂がついているものが多く、基本的に濡れにくい」、そして「羽根の軸はストロー状ではなく、筍のような構造になっているので下から吸い上げることはない(水が伝わるとしたら羽軸の外側から羽毛へ、ということがあり得るが、深く刺す必要があるだろう)」とのこと。


吸い上げるものだと勝手にイメージしていたが、全然違うのね!

早速、忍者チームと共有。すると、井戸掘りの知恵として、同様に鳥の羽根を使う事例が紹介されているという情報が入ってくる。そこではもっと産毛に近い(濡れそうな)羽根を使い、上からお椀をかぶせている。湧水を吸い上げるというより、上がってくる水蒸気で濡れる、ということらしい。

湧水はこれまでたくさん見てきたけれど、湧水点付近で水蒸気なんて上がっているのかなぁ・・・半信半疑ではあるが、実験は続行。


水で湿らせた土とサランラップと、(脂の少ない)産毛で実験をすることにした。



植木鉢に入っている土を湿らせ、産毛を刺す。

そもそもこんなに湿っていたら、羽根を刺すまでもなく「湧水だ!」ってわかるよね・・・


そしてラップをかぶせ、1時間後、3時間後、と何度か様子を見にいった。



3時間後。ラップを開けてみると、



おお、羽根が濡れている!


ラップを外し、また数時間放置。



羽根は乾いてしまった。

つまり、さっき濡れていたのは、ラップについた水滴が落ちてきたためであり、産毛の羽軸をつたった水が毛を濡らしたわけではなかったようだ。


というわけで、実験終了。鳥の羽根について若干詳しくなることができたが、忍者の「水の探し方」の伝承については実証ならず。むしろ怪しい。という結果となった。


現代であれば「ラップをかぶせておく」か、「手ぬぐいを置いておく」の方がまだ可能性がある、と思われる。

また、湧水付近の地面からそんなに水蒸気が上がってくるものなのか?という疑問も残る(これもいずれ検証したい)。

井戸掘りの話だって、知る限り浅井戸だって表土から帯水層まで数メートルはある(そのむかし、井戸調査に混ぜてもらった)。自噴井戸のように表土と非常に近い位置に水があるケースは別なのだろうが、そういう場所は、羽根を刺さなくても見りゃわかるわけで。


疑問が疑問を呼ぶような、後味となった。


忍者の「水の探し方」には、他にも、すでに怪しいものがいくつかある。

たとえば、オケラは水の近くに棲むイメージがある(鷹狩りの記録からの連想/これは要調査)が、アリの巣はどこにでもあるはず。

「大地に耳をあてると鼓動を感じる」も、帯水層はそこを水が「流れている」わけではないので、鼓動もなにもないのでは、と思う。


うーむ。他の5項目も、検証したくなってしまった。忍者は、本当にそうやって水を見つけていたのだろうか…?


ともあれ、忍者も水を探していたこと自体は、とても興味深い話である。これまで、湧水探しについては、縄文好きな人たちとは共有できた。忍者もそうだったのか。いたばし暗渠忍者ウォークの、大変面白い副産物のひとつである。


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