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  • 執筆者の写真生 吉村

暗渠とサンマーメンと私【後編】


暗渠を調べに横浜に行くたびに食べたサンマーメンを羅列する記事、いよいよ最後です。



菊名にて、まさかの、「サンマーメンのない店」が登場。

菊名で昼飯を食べる機会があれば必ずと思っていた菊名川沿いの町中華、明華という店である。



店の背後を菊名川が通っており、こんなに素敵な立地なのに、サンマーメンがなかった。

最近の自分はチャーハンや坦々麺が食べたかったのだったが、あまりに暑い日だったので、五目冷やし中華にした。



素朴な具と味つけ。チャーシューはほろほろほどけて、美味。

うむ、これは暗渠麺である。 近所のおばさまと店主の交流もいい感じだった。飲みに来たい感じ。

おがさや 




菊名。今回は西口。おがさやの前は何度も通っていたのに、中華屋と認識していなかった。ここも菊名川沿いということができ、暗渠麺である。


ここには、サンマーメンがあった!730円。なんとなく餃子3個をつけた。サンマーメンが先に到着。スープはごくあっさりの醤油、あんの粘度は強め、麺リフトすると、珍しいことに中太ちぢれ麺である!具はもやしニラキクラゲタケノコ豚肉。香ばしそうなコゲのついている豚肉をほおばると、はじめての下味のついてるタイプでちょっと感動した。珍しいなぁ。途中で酢を入れて調味。

チャーハンオムレツ揚げ餃子の、卵の被りを厭わない「Aセット」なんてあって、素敵だ。こんなふうに、サンマーメン以外も食べに来たい店が増え続ける。



杯数を重ねることで、見えてくるものもある。菊名の二軒は、奇しくも両方ともサンマーメン的に珍しい店ということになった。両方とも暗渠沿いでもある。なんの暗示なのだろうか。



三幸苑 




野毛。再び野毛。第一亭を目指すが、行列ができとる…。ふと、SNSで三幸苑のことが書かれていたのを思い出す。致死量のニンニクが入っているそうで、ニンニクを欲する身としては非常に気になる。

早速向かう。サンマーメン、920円。店に入るとチャーメンを美味しそうに食べている人が複数いる。嗚呼、ニンニクの良い香り。混んでいいたため相席となり、斜向かいに座ったお兄さんは餃子定食だった。麺類にしてくれれば、違いが観察できたものを…と心の中で残念がる。着丼。スープは深めのしょうゆ、麺はチャーメンの麺のようで、つまり細くはない。具は多め、もやしニンジンタケノコ豚肉白菜小松菜、キクラゲ、そしてたっぷりとした干し椎茸が独特。特筆すべきはニンニク。あんにしっかりニンニクが効いているのである。前述のようにわたしはニンニクを求めている。ニンニクだ!気持ちいい!と思いながら麺を啜り続けた。帰りに、他の客の麺の太さをガン見したところ、チャーメンの麺はもっと太かった。

最奥の席に座ったが、隣の空間に画用紙と色鉛筆が詰め込まれていた。きっと休憩時間や空いてる時にお子さんがここでお絵描きをするのだろう。そういう店はとても好き。

同日夜、SNS上で、港南台と平塚にも店があることを教えられる。港南台店とのニンニク量を比較したくて仕方ない。また宿題が増えた。


しかしここも独特だったな。最初の数杯で描かれたサンマーメンの型を、他店がどんどん超えてくる。


中華園 

南太田。久しぶりのドンドン川に来た。以前ドンドン川が一時的に姿を見せていた空き地の向かいにある、中華園さんに行きたいと思った。空き地には家がたち、向かいにあったマーケットの名残は半分なくなっていた。

中華園には、満席近い人が入っている。店員さんが「はーい○○さんおまちー」と名前を呼びながら配膳する。地元のひとにまぎれて着席。この雰囲気だとサンマーメンはありそうなのだが、壁のメニューにはない。そして紙のメニューが渡されることなく、店員さんがわたしの顔をものすごく見て、注文を待っている。焦る…うーん、サンマーメンは無い、のか?観念してAセット「半チャーハン、ラーメン」850円を頼んだ。




あたりまえだが、わたしの名は呼ばれずに着丼。ああ、見た目だけでこれは美味いやつだな、とわかる。スープ、麺、バランス全て良し。チャーハンは意外にもしっとりほっくりで、いいチャーシューの香りがする。大満足であった。

見なければよかったことだけれど、後から「ラーメンデータベース」を見たら、サンマー湯麺と書いてあるではないか。サンマーメンはあったのか…いやでも、今はないのかもしれないし、メニューにないものを満席の昼時に頼むのも不粋。これで良いのさ、と、納得することにした。


茅ヶ崎 



大龍。茅ヶ崎にはスイシャジムを探しにきただけなので、サンマーメン縛りは外して良いのかもしれない。しかし容易には外れないのが縛りの怖さである。

茅ヶ崎に初めて降りた。駅を出てすぐに在るこの大龍は、大変良い店構えの町中華である。しかも、地元の人でほぼ満席。若者から高齢者まで居るのが信頼できる。サンマーメン550円を頼む。これまでで最安であるが、なにしろ、ここはラーメンが300円だ!どんなサンマーメンが来るかしら。焼きそばやチャーハンも食べてみたいものだ…。

と、着丼。スープはしょうゆのあっさり。麺、普通の中太麺だ。具は、キャベツもやしにんじんキクラゲ豚肉。極めてあっさりで、早めにニンニクを入れて調味した。食べ進めつつ、これまでのサンマーメンたちとの大きな違いを感じる。おそらくは横浜市内のサンマーメンは、横浜中華街で修行した流れからきている雰囲気があった。ここは、地方都市の中華屋さんがサンマーメンを作ってみた、という感じ。スープ、麺あたりの違いによりそのように思わされた。茅ヶ崎の他の町中華にも行って、検証せねばならないことではあるが。


伊勢佐木長者町 



食里香。新吉田川沿いにある暗渠麺店である。町中華というより、中国の方がやっているガチ中華。店の前で、サンマーメンがあることを確認して入る。しかしメニュー表を見て愕然とする。さ、サンラーメンと読み違えていた…!

焦りつつもメニューを凝視すると、最後尾に海鮮サンマーメン780円というのがあった。あぶないあぶない、よかったよかった。

エビとイカの添えられたサンマーメンが到着する。スープはあっさり醤油に生姜の風味、麺、、、リフトして驚くが、中太平打ち麺。そうきたか。これはチャーメンにするとうまい麺だ。具はキャベツもやしニラにんじん玉ねぎキクラゲ、豚肉エビイカ、長ネギ。炒め方が香ばしくておいし…あ、あんかけになっていない!これも珍しいかもしれない。海鮮もあるのに豚肉が入っているという点は、サンマーメンの二大基本具としての外せなさを物語っているように思う。


白楽 


美珍。坦々麺が川崎のニュータンタンっぽく、いいかげん縛りを外して食べたくなるのだが(なにしろ、この縛りのためにニュータンタンもずっと我慢している)、こらえてサンマーメン760円。自分は横浜に来たら一生サンマーメンを食べるのだろうか。縛りって怖いなあ。

スープはやさしいが深めの醤油、餡多め。麺は細く黄色いスタンダードなもの。具はタケノコもやしニンジンニラキャベツ豚肉。タケノコやニンジンがしゃきしゃきしていておいしい。3日間食べ続けていたなら味変したろうが、ちょっと間隔が空いていたので、なつかしくなって味変はせずに味わった。

なお、店員さんが間違えて半チャーハンを持ってきた。聞き間違えたのでなく、「半チャーハンの話をしてたら間違えて半チャーハンって押しちゃった」そうで、店員さんどうしでけらけらと爆笑していた。しかしなぜその間違えたものがわたしのところにやってくるのだろう。もしかしてチャーハン顔なんだろうか? …ともあれ、明るくていい店だ、と思った。



さて、三幸苑の港南台店にもまだ行っていないし、このまま杯数を重ねていく気もするが、ここで一旦記事は一区切りとしよう。

ここまででわかったこととしては、


・横浜市内の中華店ではかなりの確率でサンマーメンを提供している。しかも、レベルが高い。

・スタンダードな型としては、黄色い細麺と醤油のスープとあんかけ。具には必ず「もやし」と「豚肉」が入っているが、それ以外の具は店により異なる。

・あっさりと胃に優しい店もあるが、時折油が多い店もあり、ヘルシーな食べものとして位置付けて良いのかどうかわからない。

・酢やニンニクなどによる味変は、効果的な店と不要な店がある。

・コスパ、それから麺や具については想像を超えてくる店もあり、値段やメニュー写真からの推測は有効でない場合がある。


というあたりだろうか。



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